大崎下島に至る道
広島県尾道から因島、生口島、大三島を経て今治へ至るしまなみ海道は、その景観の美しさからサイクリストの聖地として知られている。
尾道では乗り捨て可能のレンタサイクルがいくつかあり、気軽にしまなみ海道のサイクリングを楽しむことができる。
尾道駅前の数十メートル先はもう海で、数キロ先の向島を手に取るように見ることができる。
晴れた日に駅を降りると瀬戸内の穏やかで美しい海が眼前に広がり、後ろをむけばせり出した急峻な斜面に家々や寺院がひしめくように建っている。
かつて志賀直哉も尾道へ滞在し、そのことを「暗夜行路」にも書いている。
しかし広島にはもうひとつのサイクリングロードが存在する。
呉市から下蒲刈島、上蒲刈島を経て、大崎下島へ至るとびしま海道である。
しまなみ海道と違い岡村島で行き止まりだが、そこからフェリーで今治へ渡ることができる。
4月下旬のある土曜、私は呉からバスでこの島へ渡った。
大崎下島の御手洗へ行きたかった。
途中で腹が痛くなりうんこをしたくなり、止むを得ずバスを途中で降りるというトラブルはあったが、夕方少し前に到着した。
少し歩いただけでこの島が好きになった。
オランジーナのCMのロケ地にもなっている。
桟橋に寝そべり、しばらくぼーっとしていた。
その夜は古い医院を改築したゲストハウスに泊まった。
開業1周年パーティに参加した。
ウェーイ系のパーティかと思いきや、パワポとかで開業の経緯などを説明するガチのやつだった。
この宿は本当におすすめである。
旅籠屋 醫(くすし)というゲストハウス。
翌朝は同じ宿に泊まっていたおじさんが、岡村港まで車で送ってくれた。
岡村港から今治港まで、甲板で海を見ながら「瀬戸の花嫁」を聞いていた。
かつてここまで聴いている曲と見ている景色がマッチしたことがあっただろうか。
涼しくなったらまた行きたい。
下灘駅編へ続くかも。